miyaはんです!(^^)!
ご訪問いただきましてありがとうございます。
予備校で教員をしています。
先日から、成績の伸びのよくない学生を一人担当することになりました。
毎日の授業終了後、個人指導をします。
この学生は、1年前から数名の教員が面接を繰り返しています。
だけど、面接の場では涙を流すだけで、自分の思いを言葉にして表すことができていません。
また、ある時は、授業の課題レポートに、
「自分の成績が伸びないのは、予備校が悪い。教師が悪い」と
学校への不満を書き並べてきました。
そんな学生を担当することになり、少々ドキドキする毎日です。
指導初日は、
「自分の課題を見つけて、取り組んでください。わからない部分は、質問してください。」と伝えて、同じ部屋で数時間過ごしました。
すぐに飽きて、スマホに手を伸ばすかな、と思っていたのですが、
問題集を開いたり、消しゴムを使う音が続き、
気づくと、5時間が経過していました。
2回ほど「わからない部分はないですか?」と声をかけましたが、
「大丈夫です」と返答があり、あとは、静かな個室の中で二人、黙々とそれぞれの作業をしておりました。
個室のドアには「指導中です。ご用事は後で伺います」とメッセージボードをかけて、誰の訪問も受けず、ほんとに静かな時間を過ごすことができました。
気づくと、窓の外が真っ暗になっており、
「あれー、もうこんな時間。帰りましょう。ちょうどいいバスはあるの?」と聞くと、
「最終バスまで1時間です」と小さな声で返事があり、
通勤経路にある、最寄の地下鉄の駅まで車で送りました。
車中も静かで、
「一人暮らしで、ごはんとか食べてるの?」と聞くと、
「いつも朝と昼はたべなくてもいいんです。夜に食べ過ぎてしまうから」
「そうかー。でも、ワタシも若い頃は、家の外では緊張して食事を味わう余裕もなかった時があったなー」
とか、そんな会話で終わりました。
地下鉄の駅に到着して、車から降りる時、
「ありがとうございました。さようなら」と、その日聞いた中で一番はっきりと滑舌よい挨拶が後部座席から聞こえました。
「はい、さよなら。気を付けてね」と言い、
階段をおりてゆく姿を見送りました。
それだけの話なのですが、姿を見送りながら、
この学生と次の日も学習時間を一緒に過ごす、と確信できました。
学生も、何かを求めているようです。
何か、はまだわかりません。
学習に集中できる環境なのか、教員の指導なのか、希望する進路への確かな約束なのか、わかりません。
ワタシも、学生に何を与えられるのか、わからないまま、ともに静かな時間を過ごしているだけです。
でも、同じ空間で時間を過ごすことは、きっと何かを得ることができるような気がしています。
帰り際のはっきりとした挨拶。
あの声の調子から、学生の中にある何かを信じてみたい気持ちになりました。
ヒトとヒトとの関係って、言葉も大事ですが言葉では伝えきれない何かがあります。
言葉にしてしまうと、空々しく、軽々しくなってしまうもの。
そんな眼に見えない何かも、大事にしていきたいと思います。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました。
紅葉が鮮やかさを増してきています。
自然は時々牙をむいて人間のくらしを傷つけますが、
美しく癒しにもなります。
風邪をひかないようにお過ごしください!(^^)!